映画【ディアトロフ・インシデント】あらすじとネタバレ・感想

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映画の基本情報

■公開年:2013年
■監督:
レニー・ハーリン
■主演:ルーク・オルブライト、ジェマ・アトキンソン
■制作国:アメリカ、イギリス、ロシア
■上映時間:100分

1959年に実際に起こったディアトロフ峠事件を題材とした映画、『ディアトロフ・インシデント』を観たので、あらすじ(ネタバレ含む)と感想を書いていきます。あらすじはネタバレなしの部分とありの部分とに分けて書いているので、まだ観ていない方は注意して読んでください。

都市伝説や世界の未解決事件が好きなら知っているであろう「ディアトロフ峠事件」。ウラル山脈を登山をしていた男女9名が謎の死を遂げて全滅した事件で、その事件の真相は未だ明らかになっていない。そのためこの事件の犯人が宇宙人であるとか国家がらみの巨大な陰謀であるという説もささやかれています。本作はその実際の事件をテーマにしており、この事件を知っている方はなかなか楽しめる作品です。ホラー映画なので、怖いのが苦手な方は要注意です。

主な登場人物

■ホリー:ディアトロフ峠事件のドキュメンタリー映画を企画した探求心強めの女子大生
■ジェンセン:映画サークルのカメラ男子
■J・P:登山部の料理担当
■アンディ:登山ヤリ男
■デニーズ:セクシー美人音声担当

あらすじ(ネタバレなし)

まず本作のテーマである「ディアトロフ峠事件」をご紹介。

ディアトロフ峠事件(ディアトロフとうげじけん)とは、1959年2月2日の夜、当時のソ連領ウラル山脈北部で雪山登山をしていた男女9人が不可解な死を遂げたことで知られる事件である。(中略)

当時の調査では、一行は摂氏マイナス30度の極寒の中、テントを内側から引き裂いて裸足で外に飛び出したとされた。遺体には争った形跡はなかったが、2体に頭蓋骨骨折が見られ、別の2体は肋骨を損傷、1体は舌を失っていた。 さらに何人かの犠牲者の衣服から、高い線量の放射性物質が検出された。

事件は人里から隔絶した山奥で発生し、生還者も存在しないため未だに全容が解明されず、不明な点が残されている。当時のソ連の捜査当局は “抗いがたい自然の力” によって9人が死に至ったとし、事件後3年間にわたって、スキー客や探検家などが事件の発生した地域へ立ち入ることを禁じた。

ソ連を引き継いだロシア連邦の最高検察庁は2019年2月1日、雪崩や暴風など自然現象が原因との見解を示した。

Wikipedia

この不可解な事件のドキュメンタリー映画を作成しようと、オレゴン大学で心理学を専攻するホリーは、映画サークルや登山部からメンバーを集め、合計5名のチームで実際に現地へ赴いて登山をすることにした。

山へ登る前に、街で事件を知る女性に話を聞くことにした一行。救助隊に参加していた彼女は、同じく救助に参加していた夫と共に数々の死体を目にしており、全部で11人の死体を見たと証言する。ディアトロフ峠事件の犠牲者は9人のはずだと訝る一行だったが、女性は自分の目で確かに11人見た、と言い張る。

取材を終えて登山を開始した5人。始めは意気揚々と進んでいたが、徐々に彼女たちの身にも不気味な出来事が起こってくる。

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あらすじ(ネタバレあり)

※以下ネタバレあります。本作をまだ観ていない方は注意して下さい。

夜になり、不気味な音を聞いたホリーとジェンセン。翌朝みんなが目を覚ますと、テントの周りには正体不明の不気味な足跡があった。2匹のものと思われるその足跡は通常の人間のものよりも大きく、普通なら一本に連なっているはずの足跡も、突然現れて突然消えたかのように飛び飛びに残されていた。

しかし、この足跡は企画者であるホリーのやらせだということになり、チームの雰囲気は陰険なものになってしまう。さらに登ったところで朝と同じ謎の足跡をまた発見し、不気味な音も聞こえた。音の正体を探ろうと、近くに設置されていた気象塔(高めに設置された気象調査用の箱)を開けてみると、そこには人間の舌と思われるものが置かれていた。立て続けに起こる不可解な出来事に動転するメンバー達。それでも危機管理能力は発動せず、登山を続けてディアトロフ峠の事件現場へ到着した5名。GPSやコンパスが狂っていることに気付くが、時間的にも引き返すのは危険と判断してその事件現場付近で一泊することにした。

ホリーとJ・Pは、その場で感知された放射能の発生源を探る過程で、雪山に似合わない謎の鉄扉を発見する。しかし、ただでさえ足跡や舌の発見でピリピリしている他のメンバーをこれ以上不安にさせまいと翌朝まで二人だけの秘密にすることにした。夕食を取り、不穏な状況にもめげずに登山ヤリ男アンディとセクシー美人デニーズはテントで大人な時間を過ごす。ホリーもJ・Pを誘ってテントへ行き、ジェンセンはボッチに。しかし、突如爆発音と共に雪崩が発生し、服を着ようとして逃げ遅れたデニーが死亡。チームはお色気担当を失う。美女とお楽しみだったアンディも足に重傷を負う。ホリーとJ・Pとボッチのジェンセンは無事だった。

救援のための照明弾を撃つと、ほどなくして男2人組が見えてきたが、その男たちはホリー達めがけて発砲。仕方なく動けないアンディを見捨てて昨晩見つけた鉄扉の中に逃げ込んだ3人だったが、J・Pは銃弾を受けてケガを負ってしまう。扉は外からロックされてしまったため、J・Pを残してホリーとジェンセンは脱出口を探すことに。扉の中は放棄された研究施設のようであり、いくつもの扉と部屋があった。そこには「フィラデルフィア計画」の極秘研究資料や、舌を切り取られた遺体、さらにマッドサイエンティストの研究道具のようなものも。そしてなぜかジェンセンの使用しているビデオカメラと同じカメラが机に置かれており、データを見てみると確かに自分たちがこれまでに撮影した動画があった。カメラが分身したのか?と不思議がるホリーとジェンセン。

ここで「フィラデルフィア計画」の説明をWikipedia先生の方から少し。

1943年10月28日、ペンシルベニア州フィラデルフィアの海上に浮かぶ「エルドリッジ」を使って、大規模な実験が秘密裏に行われた。

当時は第二次世界大戦の真っ只中であり、実験目的は新しい秘密兵器「磁場発生装置テスラコイル」を使い、「レーダーに対して不可視化する」というものであった。 テスラコイルの高周波によってレーダー波を無効化する為の装置としてエルドリッジの船内には多くの電気実験機器が搭載されており、そのスイッチを入れると強力な磁場が発生し、駆逐艦がレーダーから認められなくなった。(中略)

「実験開始直後に、駆逐艦はレーダーから姿を消す」、ここまでは実験参加者達の予定通りであった。しかし直後にエルドリッジは「レーダーから」どころか物理的に姿を消してしまい、しかも2,500km以上も離れたノーフォークにまで瞬間移動してしまっていたのである。それから数分後、またもや発光体に包まれ艦はもとの場所に瞬間移動した。

再び戻ってきたエルドリッジだが、乗員は次のような惨状に陥っていた。

・体が突然燃え上がった
・衣服だけが船体に焼き付けられた
・甲板に体が溶け込んだ
・発火した計器から火が移り、火だるまになった
(中略)

こうして実験自体は成功したが、「行方不明・死亡16人、発狂者6人」という、取り返しのつかない結果になった。このことに恐れおののいた海軍上層部は、この極秘実験を隠蔽したといわれている。

Wikipedia

この研究所では、ワープと不思議な生き物について研究しているようだった。

そうこうしていると、突然2体の怪物が登場。人型で痩せており、動けないJ・Pを食べるなどの凶暴性を見せ、素早い動きに加えてテレポーテーションまでしている。BLEACHで言うところの瞬歩やらソニードみたいなものです。一行が雪山で見つけた足跡はこの怪物のものだった。追いやられるように一つの扉の中へ逃げ込んだホリーとジェンセン。その空間の先にはワームホールがあった。

怪物に食われるより、イチかバチかワームホールへ飛び込むことを決めた2人。飛び込んだ先は、なんと1959年、ディアトロフ峠事件が発生した現場だった。画面には倒れているホリーとジェンセンの姿。二人の救助隊(登山前に取材した女性とその夫)が倒れている二人に気付いて近づくが、すぐにソ連軍が現れて彼らを制止。ホリーとジェンセンは例の鉄扉の中、当時現役で使われていた研究施設へ運び込まれた。衣服を脱がされ、フックに吊り下げられる2人。その姿は、ホリーとジェンセンを襲った怪物の姿をしていた。ソ連軍が立ち去った後、目覚めたかのようにその2体の怪物は動き始めた。

感想

某TSU〇AYAのサスペンスのコーナーにあったので観てみましたが、ジャンルとしてはSFホラーです。SFホラーと聞くと勘のいい方は怪物の登場まで予想できそうなので、冒頭ではあえてジャンルを明記しませんでした。かしこ。
本作はPOV(point of viewの略で、映画内でカメラ撮影された映像が本編のメインとなり、映画の登場人物と視覚を共有するような演出)の手法で制作されており、作中ではホリーやジェンセンの撮影してしている映像を見ながら話が進んでいきます。また、この作品はファウンド・フッテージ(映画内の撮影者が死亡や行方不明になり、第三者の手によって録画映像が公開されるという設定)系の作品としても知られています。

ネタバレをまとめると、ソ連は大戦後、「フィラデルフィア計画」の研究の中でワームホールを発見。そこを通った人間が怪物になることを知り、その怪物を解剖などして調査していました。しかし、研究者や軍は1959年にその怪物を研究施設から逃がしてしまい、怪物は9人の登山家を殺してしまいます。ディアトロフ峠事件は、その怪物による惨殺事件でした。ソ連政府は、その研究を世に出さないために事件を隠蔽し、事件後に研究室を封鎖していました。しかし、ホリーとジェンセンがワームホールへ飛び込んだことで1959年の事件直後にまた新たに2体の怪物が生まれます。博士が研究するからとフックに吊り下げられた2体はその後動き始め、施設に残っていた兵士を殺して舌をちぎり脱走、彼の舌を気象塔へ入れます。怪物を野放しにしてしまったソ連はディアトロフ一帯を数年間封鎖しました。そして登山者が来るたびに雪崩を起こすなどして山の謎を隠していたのです。生き延びた怪物2体(元ホリーとジェンセン)は、時がたってホリー達が来るのを待ち、自分たちの存在が消えないように彼らがワームホールへ飛び込むように追い詰めいくのです。

フタを開ければあらびっくり、「フィラデルフィア計画」出てくるわ怪物は出てくるわタイムループするわ。鉄の扉に3人が逃げ込んでからがらっとテイストが変わりました。怪物が出た時点でB級ならぬC級感さえ出てきますが、救助隊だった女性が「死体は11体だった」と言ったことなどの伏線はきれいに回収されていたし、なんだかんだで映画内のつじつまが合うので面白かった映画です。ディアトロフ峠事件は9名が死亡した原因こそ不明ですが実際の事件。フィラデルフィア計画はそれが実在したかさえ不明で完全な都市伝説と言われています。これら都市伝説好きが大喜びしそうな2つのネタをミックスして新たな解釈を提示したのも評価のポイントですね。ただ、本編に出てくるニュース映像で5名の学生が雪山で死亡して~って言ってましたが、ホリーら二人が過去にタイムスリップして怪物化したのならこの事件の死者発見数は3名じゃないのか。残されたカメラの映像を見て察したロシアが5名で公表したということにしておきましょうか。おそロシア。

中盤、ホリーがジェンセンに、自身がよく見る夢の話をしている時に、後ろの雪山を怪しく動く2体の怪物が映っています。始めは5人を監視しているロシアの兵隊かなと思っていましたが、結局怪物でしたね。ちらっと映っているので探してみて下さい(他のシーンからは見つけられませんでした)。
あとこの怪物、理性を失っているようで実はちゃんと思考能力があるようです。自分達の前身であるホリーとジェンセンがワームホールへ行くよう仕向けたり、舌を気象塔に入れて探求心旺盛なホリーが鉄扉までたどり着く布石を作ったりと健気に作戦を遂行しているのです。人間だった時の記憶が残っているのでしょうか。

なかなかスリリングなこの映画、そんなに深い内容の映画ではないので、宅飲みついでの暇つぶし程度に鑑賞してちょうどくらいの映画だと思います。世界7不思議とか都市伝説が好きなら観ると楽しいと思いますが、予備知識があった方がより楽しく鑑賞できるでしょう。

デニーズが美人なので総合評価は60点(100点満点)です。別に観なくても損するような映画ではないです。

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